フェバリット社のソフトモデル、スピノサウルス遊泳バージョンのレビューです。
スピノサウルスは全長15〜18m、体重4〜20トン(推測される生息形態によって諸説あり)、白亜紀前期〜後期にかけて今のエジブトやモロッコに生息した史上最大の肉食恐竜です。
背中には成人男性の身長ほどある帆が生えており、体温調整用のラジエーターとして使われていたと考えられています。
ジュラシックパーク3でティラノサウルスを倒し、一躍有名になったスピノサウルスですが、現在は映画のような2足歩行ではなく、後ろ足が短くなった4足歩行の復元が主流になってきています。
スピノサウルス遊泳ver(フェバリット)
造形は日本の恐竜模型の第一人者である荒木一成氏によって手がけられており、最新の学説に基づき後ろ足の短い4足歩行スタイルになっています。
4つの足で水を掻きながら水中を潜っていくような動きを再現しているため、お腹の下に台座を置いて飾るのが基本的な展示方法です。
ソフトモデルと謳っていますが思った以上に固く、全くフニャフニャしていません。
押すと少し曲がるかなくらいの印象です。
造形は素晴らしい。でも細かい部分の塗装はちょっと雑。
まず頭です。
顔はワニのような細長い顔をしており、歯はティラノサウルスのようにカーブのかかった歯ではなく、針や杭のような直線的な歯になっています。
歯茎がデコボコしていて、歯が綺麗に並んでいないところもワニにそっくりです。
鼻先は丸みを帯びた感じになっています。
この鼻先には血管や神経が集中していたことがわかっており、鼻先で水圧を感知し主食であった魚を狩っていたと考えられています。
彩色は上顎が緑色、下顎はクリーム色、口の中がピンク色になっています。
歯は下顎と同じクリーム色ですが、口内のピンク色がはみ出したりしており、やや雑な印象です。
口腔内のピンク色も所々黒っぽくなっており、均一にピンク色になっているわけではありません。
造形は細かくて良いのですが、こういった彩色の雑さが少し残念です。
印象としてはあまりどっしりした感じではありません。
頭から尾にかけて細長く、帆が無ければヒョロヒョロした体形です。
上から見ても厚みがある印象は受けません。
彩色はクリーム色をベースに頭から尻尾にかけて緑のラインが入ったようなデザインになっており、もともと細長い胴体がさらに細く強調されています。
表面にはウロコも作られています。
緑色の部分は少しわかりにくいですが、クリーム色の部分は鱗の継ぎ目が黒っぽく彩色されているので、ウロコがあるのも分かりやすいです。
化石に忠実な造形の帆
帆の形は単純に山なりになっておらず、真ん中あたりで一旦くぼんでからまた高くなる、といった形になっています。
胴体と同じで頭から尾にかけてクリーム色の中に緑のラインが走るようなでデザインになっています。
帆の先端はオレンジ色と赤色の棘のようなものが付いており、全体的にクリーム色と緑色の2色しかない色合いの中で、いいアクセントになっていると思います。
ちなみにこの帆は背骨の棘突起が伸びたものなので、背骨に固定されています。
なので、こんなに大きな帆を背負っていたスピノサウルスの運動性能は低く、激しい戦闘は難しかったと考えられています。
また、化石ではこの帆の先端を、ティラノサウルス同等の大きさがある肉食恐竜のカルカロドントサウルスに食いちぎられたことが分かっています。
この事が、スピノサウルスが2足歩行ではなく4足歩行をしていて、背が低かったという有力な根拠になっているようです。
水中生活に適応した短めの手足
腕には3本の大きな鉤爪が付いていて、一番内側の爪は他の2本より大きく作られています。
水生という設定なので水かきが付いていたかもしれませんが、このフィギュアには水かきらしいものは見当たりません。
爪の色は黒一色です。
グラデーションはかかってなさそうです。
足は最新の学説に基づき短いつくりになっています。
腕よりは少し長いくらいでしょうか。
ジュラシックパーク3に出てきたスピノサルスの足は腕の2倍くらいの長さがあったので、あのスピノサウルスのイメージが強い人はこの短足ぶりに違和感があるだろうと思います。
足は、水中を想定しているため水を掻くような造形になっています。
足には4本の指と鉤爪がついており、爪の色は腕と同じで黒一色です。
足の内側の第1指が、第2・3・4指と1列に並ぶような形で付いているのは、他の肉食恐竜と異なる点です。
他の肉食恐竜は大きな第2・3・4指で地面を捉えるようになっており、第1指は他の指より小さく離れた場所にあります。
足の指の間には水生を伺わせる水かきがあります。
2020年に尻尾の形が判明しましたが、このフィギュアが作られたのはそれより前なので旧復元となっており、尻尾は細長く作られています。
クリーム色と緑の縞々柄になっており、胴体までの彩色パターンとは違っています。
頭から帆まで続いてきた背中の棘も尻尾まで続いており、オレンジ色と赤色で彩色されています。
おわりに
フェバリット社のソフトモデル、スピノサウルス遊泳バージョンのレビューでした。
スピノサウルスの4足歩行型を復元したフィギュアは最近アニアやコレクタなどの会社が出すようになり、だいぶ増えてきました。
このフェバリットのフィギュアはそんなを新説を早い段階で取り入れていて、当時非常に新鮮に感じました。
彩色はやや甘いところがありますが、1,000円という手頃な値段でこれだけの質なら悪くはないと思います。
むしろ良くできている。
フェバリット社からは他にもティラノサウルスやトリケラトプスなどもたくさんの種類が出ているため、機会を作ってまたご紹介したいと思います。
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