尻尾の分割線とややテカリのある塗装が気になったが、造形が良く大きさもあるため満足度は高い。ただ、平均的なパポフィギュアより高値。そこまでの価値は感じない人が多いかも。
長さ約40㎝、高さ16㎝
今回取り上げるのは、2019年末にフランスのパポ社から発売されたスピノサウルス・リミテッドエディションです。
2019年の夏ごろには発売される予定だったらしいのですが、延び延びになって結局年末の発売になり、手に入れるのは2020年頭になってしまいました。
限定版とのことですが、個数なのか期間なのか、何が限定なのかネットを調べてもよくわかりませんでした。
いずれにしても流通量が少ないのか、現在アマゾンで出品者からしか買えない状況でプレミア価格になっており、15,000~20,000円くらいです。
楽天では扱われていません。
あと、パッケージには#1とあるので、今後#2、#3と出していくんでしょう。
次に何が来るのかとても楽しみです。
スピノサウルス2019リミテッドエディション
パポからは2008年ごろにジュラシックパーク風のスピノサウルスが販売されていて、今回は第2世代になります。
見ての通り、今度のヤツは最新学説風の水棲4足歩行バージョン。
足には水かき、尻尾にもヒレがついて完全な水棲仕様です。
色は限定版の名に恥じず、様々な色を使って複雑に塗装されていて手が込んでいるのが分かります。
若干テカっているのでその部分が安っぽく見えるのがちょっと残念なところです。
旧世代との比較です。
後足がかなり短くなりました。
長さは前足とあまり変わりません。
比べてみると背びれもの形も変わりましたね。
今は単純な山なりではなく、台形っぽい形になっています。
顔は新旧ともにワニのような顔をしていますが、2019年版のほうが、鼻先が細くガビアル系ワニのような顔をしています。
歯並びも2代目のほうが悪いです。
限定版は尻尾の上下にヒレがあって、ウナギのような尻尾です。
このフィギュアはアゴだけが可動します。
開くのはこのくらいの角度が限界です。
舌はザラザラした感じに作られています。
口の中の造形も全体的に良くできています。
目は黄色目に黒い瞳をしています。
第1世代が黄緑色の猫目で、昔と比べると今回のは印象が変わりましたね。
ジュラシックパーク3でスピノサウルスが好きになった人は多いようなので、猫目のほうが人気はありそうです。
口を閉じるとキバがアゴのくぼみにガッチリはまるので、口はしっかりと閉じることができます。
首はワニのような大きなウロコが、装甲のように並んでいます。
縦にスジが入っていますが、背びれを支える骨で、実際の化石は1.8mほどあります。
大人男性の身長程度と考えると、かなり大きいですよね。
背びれを上から見ると、ねじれて立体的な動きがつけられているのがわかります。
私はこのねじれの動きにちょっと感動しました。
体を左右によじりながら川を泳いでいるスピノサウルスが目に浮かびます。
胴体はちょうど肋骨のある部分は盛り上がっていて、触ってみると肋骨のデコボコが分かります。
塗装の仕方のせいで、見ただけではちょっとわかりにくいですが。
上から見ても胸部がリアルに横に膨らんでいます。
頭の後ろから尻尾の先のほうまで、体の左右に2列の突起列が並んでいます。
両腕は地面に接地しています。
水棲生活を想定して、指の間には水かきが付いています。
陸上を歩いているにしては、指の背中側を地面につけていて不自然なポージングなので、たぶん泳いでいるところを再現しているんだと思います。
魚をすくいあげていたと考えられている大きな爪は、第1指が特に大きく作られています。
右後足は浮かせていて、水中を蹴っているような雰囲気です。
後足の指を曲げたポージングのフィギュアは珍しく、前足で体を支えているからこそできるポージングですね。
尻尾は体の長さからすると、ちょっと短めに感じます。
ただ、長さより何より、一番の特筆すべき点はウナギのような形をしているところ。
尻尾の上下にヒレがあって、部分的に切り込みも入っています。
尻尾がどんな形だったかは今のところ分からないわけで、 個人的にはワニっぽいほうが好きですが、なかなか面白い造形だと思います。
2020年4月29日のネイチャー電子版によると、尻尾の化石が発見され、このフィギュアと同じく、ワニやイモリの尻尾のような形をしていたことが分かりました。
個体差なんでしょうが、このフィギュアの一番の残念ポイントがここ。
尻尾の分割線が目立ちすぎじゃないですか?
合わせ目がほんの少しずれているので、そこが影になっているんだと思います。
同価格帯のフィギュアとしてPNSOのスピノサウルス・エッシェンやW-dragonのスピノサウルス・エジプティアクスがあるので比較してみます。
大きさはほぼ同等。
PNSOスピノは1/35スケールなのでパポのほうも同スケールだと思います。
似たようなワニ顔をしていますが、キバの大きさが全然違いますね。
同じ水棲恐竜として造形されていますが、尻尾の形も全く違います。
パポのほうが2020年の研究結果に近い形状です。
W-dragonのスピノと比べると、水棲スピノは後ろ足が短いこともあって、とても貧弱な感じに見えてしまいます。
顔の比較です。
やはりイケメン度はジュラシックパークスピノが上ですね。
印象は顔の造形でも変わりますが、目つきによるところも大きいかな。
猫目はキリっとしていてカッコいいですね。
パポのティラノサウルス2019との比較。
スケールは一緒です。
このティラノサウルスは胴体が小さいというのもあり、体格はスピノが圧倒的です。
面構えはティラノのほうが凶悪な感じです。
横47、縦23、奥行き16㎝の、フィギュアが触れるボックスに入っています。
裏面はフランス語等でこのフィギュアの解説。
それとイラストでティラノサウルス2019との大きさ比較もしています。
総評
今回はパポのスピノサウルス・リミテッドエディションのレビューでした。
発表されてからずーっと販売を待っていたんですが、なかなか発売にならないので2019年中には出ないんじゃないかと思っていました。
で、年末にようやく出たと思ったらアマゾンで値段が1万円してたんで・・・一瞬買うのを躊躇しましたね。
1万円は恐竜フィギュアとしては高いほうですから。
パポ製なので造形の出来は良いのはわかってましたけど、どうしてもPNSOやW-dragon、Nanmu Studioなどの1万円フィギュアと比べることになってしまう。
実際そこと比べると少し見劣りしますね・・・個人的には限定ということを考えても定価通りの7000円くらいが妥当かなという感じです。
1万円するなら分割線が出ないようにもっと丁寧に接合したり、テカらない塗装ももうちょっと頑張ってほしかったところ。
ホント造形はすごく良いんですけどね。
#2以降のフィギュアに期待です。
最後ちょっとネガティブなことを書いてしまいましたが、このフィギュアはボリュームはあるし、いろいろな色彩にも富んでいるので観賞しごたえはあります。
最新学説どおりのスピノサウルスとしてはかなりカッコいいほうなので、スピノサウルス好きなら手に入れても損はないです。
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