★★★☆☆(3点/5点)
今回レビューするのは2019年7月に海洋堂から発売された、カプセルQミュージアムシリーズの『恐竜発掘記8恐竜造形大博覧会』です。
1回400円のガシャポンフィギュアで全6種です。
ラインナップは次のとおりです。
1.ディノニクス
2.カマラサウルス骨格
3.カマラサウルス骨格(化石カラー)
4.ティラノサウルス
5.ティラノサウルス(黒カラー)
6.テリジノサウルス
恐竜発掘記を購入するのは前回の恐竜発掘記7以来ですが、それと比べると少し手抜きかなというのが率直な感想です。
手抜きしたというのは造形自体のことではなく種類のことで、前回は5種類あって5種類とも別々の恐竜でしたが、今回は6種類のうちカラバリが2種類あり、恐竜の種類は実質4つしかありません。
個人的には今回も5種でいいので、全部異なる恐竜にして欲しかったですね。
それと、前回は最新の学説に基づく造形というコンセプトがあったのですが、今回のコンセプトはよく分かりません。
初っ端から文句言ってますが、フィギュア自体は結構気に入っています。
手のひらサイズでこの圧倒的に細かいディテールは秀逸で、値ごろでもあるのでなかなかおすすめです。
もし買うならフルコンプセットがネットで売っているので、ガチャを回すドキドキ感を楽しみたい人以外は素直にそっちを買ったほうがいいと思います。
今ならほぼ定価で手に入りますが、CCザウルスやダイノテイルズなど、海洋堂のミニ恐竜フィギュアは後々定価レベルで買えなくなるので興味のある人は今のうちに手に入れておきましよう。
恐竜発掘記8 恐竜造形大博覧会(海洋堂)レビュー
ディノニクス
1匹目はディノニクスです。
造形、塗装ともグッド。
尻尾と体のパーテーションラインが少し目立つ気がします。
そこがちょっと残念。
でも、それを補って余りある出来栄えです。
ディノニクスは体長3m、体重70kgほどの小型肉食恐竜で、映画ジュラシックパークのヴェロキラプトルのモデルになっている恐竜です。
恐竜が鳥に進化したという説に大きく貢献した恐竜でもあり、同じドロマエオサウルス類の恐竜が羽毛を持っていたため、ディノニクスも羽毛が生えた姿で再現されることが多くなりました。
でも、実際に羽毛の痕跡が見つかったわけではありません。
体に対する脳の大きさが鳥類と同じくらい大きく、知能が高かったと考えられています。
肩の関節が横を向いており、腕は横に肘を突き出すような感じです。
手首は左右に動くようになっていたため、まさしく鳥の翼のような前足をしています。
最大の特徴である後ろ足のかぎ爪は13cmにもなり、強力な武器でした。
猫のように普段は地面につかないように引っ込めておいて(上にあげておいて)、狩りの時に獲物に振り下ろしていたようです。
切り裂くというよりは突き刺す感じだったので、致命傷にするために何度も飛び跳ねて蹴りを入れていたと考えられています。
そして、この狩りの動作が飛行動作の原型になったようです。
尻尾は尾椎の関節突起が発達していて、硬い腱で繋がっていました。
尾椎自体もお互いくっついていてあまり動かせず、尾をピンと張って水平な体を維持するバランサーとしての役割を果たしていました。
映画ジュラシックパークのヴェロキラプトルのように、ディノニクスも群れて行動していたという説もありますが、実際そうだったかはわからないようです。
5体のディノニクスと一緒に発見された草食恐竜のテノントサウルスの骨にはかじられたような傷がなく、ディノニクスの骨には他のディノニクスの爪が挟まっていたことから、単独で獲物を狩り、同種で獲物を奪い合っただけではないかとも言われています。
カマラサウルス
ジュラ紀後期の北アメリカで生きていたカマラサウルスは体長20m、体重20トンの竜脚類です。
首や尻尾が短く、当時の竜脚類としては割と小さな方でした。
発見個体数が多く、当時の北アメリカで最も栄えた恐竜の一つと考えられています。
ベージュのボーンカラーで、シャドウもかかっていない塗装が少しチープな印象を与えます。
骨格フィギュアはボリュームが小さくなりがちなため、肉付きモデルよりショボい感じがしてしまいます。
4足なのに自立せず、土台に足をはめ込まないと立ちません。
頭骨は体の割に大きく、正方形に近い形をしています。
その口にはスプーンのような丈夫な歯があり、針葉樹などの固い植物を食べていたようです。
前足は後足より短いですが、肩の位置は高く腰とほぼ同じ高さです。
ブラキオサウルスに似た雰囲気の体つきをしています。
前足には5本の指があり、親指は大きくて鋭い爪が付いていました。
体重を減らすため背骨は空洞になっており、これが「空洞のあるトカゲ」というカマラサウルスの名前の由来になっています。
こちらが色違いの化石カラー。
ブロンズ色なので光沢があり、少しカッコよく見えます。
写真をいくつか。
ティラノサウルス
説明不要の大人気恐竜。
ギガノトが出ようがスピノが出ようが、王様はやっぱりティラノです。
頭はブラウンで首から尻尾にかけてグリーンという割とシンプルなカラーリング。
前から見ると目は正面を向いています。
ちゃんと舌も作られた口内。
爪は2本独立してありますが、塗装は指と一緒になっていますね。
背中には2列のトゲがあります。
トゲだけ背中とは別に黄色い塗装がされています。
足の付け根と尻尾のパーテーションラインが少し分かりやすいですね。
明るいカラーだと溝が割とくっきり見えてしまいます。
別カラーの黒ティラノです。
渋くてかっこいい。
今回の目玉フィギュアとなります。
ただ、感想としては、「う~ん、目がイマイチ」でしょうか。
ノーマルカラーと違って、瞳が大きくかわいい目をしています。
せっかく渋い体色なのに、ミスマッチな目です。
もったいない。
顎のカラーが首のカラーと全く違い不連続な塗装なので、不自然な感じもします。
ノーマルカラーと違い、指の爪はベージュに塗装されている一方、背中のトゲは背中と同一色で塗装されています。
尻尾の分割線はノーマルカラーより目立っていません。
それでも、多少見えてますね。
テリジノサウルス
最後はテリジノサウルスです。
今回の恐竜たちの中で、一番出来がいいんじゃないかと思います。
造形、塗装ともすばらしく、同じく出来のいいディノニクスよりボリュームがあるため満足度は高いです。
テリジノサウルスは腕の化石や肋骨の一部しか発見されていないため、正確な姿や大きさが不明です。
20年くらい前から図鑑などに載っていましたが、当時はアロサウルス のような姿に巨大なかぎ爪を持つ肉食恐竜として描かれたりしていました。
ですが、近年は中国のアラシャサウルスなど近縁種がいくつか発見され、本当の姿がみえてきました。
そこから推測すると体長は約11m、体重は5トンになるようです。
最大の特徴は2mにもなる腕と70cmの爪です。
餌となる植物をかき寄せるのに使ったとか、タルボサウルスのような肉食獣から身を守るために使ったなど、その使い方にはいくつかの説があります。
このフィギュアはちょっと爪が短いような気がします。
近縁種に羽毛の痕跡があったことから、テリジノサウルスにも羽毛があったと考えられます。
食性については草食だろうと推測されていますが、断定できる根拠はまだなく、魚なども食べていた雑食の可能性も残っています。
今後の発見と研究の成果に期待ですね。
足は他の獣脚類と違って、4本の指を地面につけています。
一般的な獣脚類は親指の部分が小さく退化し宙に浮いています。
祖先のテリジノサウルス類も3本の指で立っていました。
ですが、テリジノサウルスは進化の過程で退化する親指を逆に大きく進化させたようです。
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