★★★☆☆(3点/5点)
バリオニクスは今から1億2500万年前のイギリスに生息していた肉食恐竜です。
体長は7.5~10m、体重は約2トン。
魚食性という珍しい食性を持っており、この恐竜の研究が進んだことで近縁種であり史上最大の肉食恐竜であるスピノサウルスの研究が進みました。
最初の化石発見は1983年。
英国サリー州近郊でアマチュア化石収集家のウィリアム・ウォーカーによって爪と指の化石が発見され、のちに考古学者のアラン・チャグリとアンジェラ・ミルナー、それと大英自然史博物館スタッフによって、半年かけて全骨格の70%の化石が発掘されました。
そしてウィリアムは博物館に爪の化石を寄贈し、チャグリとミルナーは1986年に科学誌Natureでこの新種の恐竜を報告します。
この際彼らはウィリアムに敬意を評し、大きな爪とウォーカーの名前をとったバリオニクス・ワルケリ(walkeri )と名付けました。
バリオニクス ・ワルケリ(フェバリット)レビュー
今回のレビューはフェバリットから博物館限定で発売されているソフトモデルのバリオニクス・ワルケリです。
造形は日本の恐竜造形の第一人者である荒木一成氏、そして監修は福井県立恐竜博物館です。
博物館限定で販売されており、フェバリットのオンラインショップやアマゾンなどでは取り扱っていません。
なので手に入れる場合は博物館までいく必要があります。
ただ、福井県まで行かなくても熊本の御舟町恐竜博物館など一部取り扱っている博物館もありますので、近くに博物館のある方はそこで購入できないかチェックしてみましょう。
フィギュア本体の大きさは、長さ23cm、高さ9cmあります。
台座が付いており、台座の凸部と右足裏の凹部を噛み合わせて2足で立ちます。
個体差があるかもしれませんが、台座なしでは立たないと思います。
顔は他の大型肉食恐竜と比べても異様に細長く、吻部にはくびれがあり、現代のワニのような形をしています。
歯はティラノサウルスの歯のように後方に反っていたり、歯の淵にステーキナイフのようなギザギザもなく、真っ直ぐとした円錐状の形状に、縦に筋が入った滑らかな表面をしていました。
この歯は滑りやすい魚に突き刺して捕まえ、丸呑みするのに適した形です。
バリオニクス の歯は下顎に32本あり、これは一般的な獣脚類の2倍の本数だそうです。
フィギュアだと歯が小さすぎて、奥歯は歯茎に溶け込んでいるように見えます。
頚椎の形から、首は一般的な獣脚類ほどS字状にはなっておらず、細長いです。
バリオニクスは“重いカギ爪”という意味で、名前の由来どおり前足にはとても大きな爪が付いています。
第一指の爪が特に大きく第二、第三指になるにつれて小さくなります。
ちなみに指の大きさ自体は3本ともあまり変わりません。
爪だけが大きくなっています。
その長さは30cmにもなり、熊のように魚をすくい上げたとか、滑らないように川底の岩に引っ掛けてアンカーにしていたなど、使い方にはいくつかの説があります。
腕そのものも他の獣脚類のそれよりも大きく、かなりしっかりしていました。
バリオニクスの腹部(胃のあたり)から消化されかかった魚の化石(鱗)が発見されたため、魚食性であったことが判明しましたが、同時にイグアノドン幼体の骨も見つかっています。
このため、バリオニクスは魚だけでなく他の恐竜を食べることもあったのではないかと考えられています。
ただ、生きた恐竜を襲って食べたのか、死体を食べたのかまでははっきりしていません。
足や尻尾は普通の肉食恐竜と同じような形をしています。
バリオニクス はスピノサウルス科の中でも古い恐竜で、スピノサウルスのように水棲に適応する前の特徴を残しています。
まだ陸上生活をしていたようなので、足の指に水かきはなかったようです。
また、スピノサウルスや近縁のスコミムスのような背中の「帆」も発達していませんでした。
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